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殺人や事故の現場を清掃するという産業=“CTS Decon(Crime and Trauma Scene Decontamination:犯罪および精神的外傷となる現場の除去、浄化)”。 アメリカに実在するこの特殊な職業を営むひとりの男が、ある「殺人現場」を清掃したがゆえに事件に巻き込まれるという、独創的でひねりの効いたサスペンスが誕生した。「殺人事件」を清掃したはずが、「失踪事件」にすり替わっていたという衝撃的な発端。殺人の事実を知るのは、犯人と主人公のみ。しかも、証拠は総てその手で消してしまっている。観る者は、主人公・トムが感じる恐怖や戸惑いを共にしつつ、そして時には事態を覗き見する感覚で、衝撃のラストまで、息をもつか |
せぬミステリアスな展開に翻弄される。「誰が殺したのか?」という彼の真相追求は、封印された過去を呼び覚ます。本作は、自らの過去を「清掃」して再生できるのか、というトム自身の物語でもあり、その人間ドラマ的肉付けが、サスペンスの本筋に奥行きを生み出す。 この映画に信憑性を与えるのは、臭いに至るまで痕跡を除去してゆくCTS Deconのリアルな描写だ。手順から使用器具に至るまで丹念なリサーチをして作り上げた「清掃」シーンには、グロテスクな嫌悪感ではなく「怒りや悲しみを浄化する」静謐な空気が漂う。 |
アメリカ東海岸の寂れた街、ブラウンストーン。元警官のトム(サミュエル・L・ジャクソン)は、14歳の娘ローズ(キキ・パーマー)と穏やかな暮らしを送りながら、特殊な清掃会社、ステリクリーン社を経営していた。その仕事は、犯罪や自殺や事故現場から警察が立ち去った後、血溜まりや飛散した脳ミソ、臭いなどを取り除くというタフでなければ務まらぬ仕事。そして同時に、悲しみや憎悪を洗い流す仕事でもあった。 ある日、殺人現場の清掃依頼が届く。受注書の指示通り、鍵を玄関前の植木鉢から取り出して無人の大邸宅に足を踏み入れたトムの目に、射殺現場とおぼしき派手に血で染まったリビングルームの光景が飛び込んできた。トムは、洗浄剤や器具を駆使したプロの技で、殺人の痕跡をひとつ残らず除去していく。 一体誰が、あの「清掃」を依頼したのか?トムは受注書に記された刑事の名前をたどるが、それは架空の人物だった。彼は底知れぬ恐怖を感じ、現場のポラロイド写真や、邸宅の鍵を入れたファイルを隠し、鍵をかける。 新聞やテレビが、郡の名士で実業家のジョン・ノーカットが行方不明であることを報じている。その中継現場は、なんとあの邸宅。そして、アンはジョンの妻。「殺人」が「失踪」にすり替わっている! 情報を探ろうと、ずっと疎遠にしていた警察時代の相棒、エディ(エド・ハリス)を久しぶりにパブに呼び出したトムは、ある驚愕の事実を知る。ジョンは、元市警察本部長ヴォーンの汚職収賄事件の検察側の証人として出廷を予定していたという。偽の「清掃依頼」の裏には組織的な陰謀が渦巻いている!パブに偶然居合わせた刑事のバーガス(ルイス・ガスマン)は、トムが失踪事件を気にしているのを察し、不審の目を向けた。彼は、トムの“過去”を知っていた。その後ノーカット邸のリビングルームから、業務用洗浄剤が検出されると、バーガス刑事はトムの関与を、さらには殺人をも視野に入れて彼を疑う。 事件の渦に巻き込まれたトムは、アンと会い探りを入れる。「真相を知りたい」と答えた彼女に、トムはリビングルームで見たものを打ち明ける。夫は射殺されたと知り、アンはショックを隠せない。そして、ヴォーンの元金庫番であったジョンが、司法取引に応じて提出しようとしていた裏帳簿を隠し金庫から取り出す。それは、ヴォーン側が血眼で捜しているはずの汚職の記録だった。そこに記されたバーは、汚職警官達のバッヂナンバーらしい。エディの調査で、トムに付きまとうバーガス刑事もそこに載っていることが判明した。 だがそれだけでなく、トムは、自身のナンバーをも帳簿に見つけていた‥。それは、決して消し去れぬ過去の汚点。警官時代、悲劇的な妻の死を巡るある秘密が発端で、トムは汚職に手を染めた。トムが愛娘・ローズにひた隠しにしてきた過去が、今、暗い口を開けて彼を飲み込もうとしている‥。 ヴォーン側かと思われる正体不明の警官から殴打されても、事件にのめり込むトム。エディは、それをたしなめ、あの悲劇以前は家族的な付合いがあったのに、今や情報収集役としか見ていないようなトムの態度にも怒りをぶつける。 そんな時、ジョンの遺体が発見された。遺体が示したひとつの事実は、事件に新たな光を当てる。アンもまた、秘密を抱えている‥! ジョンを殺し、トムを罠にはめたのは、一体誰なのか? 過去からの波が迫るなか、驚愕の真相に向かって、事態は急転回する‥。 |
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ワシントンDCに生まれる。アトランタ州のモアハウス・カレッジを演劇芸術の学位を取得して卒業後、舞台に出演した。まだモアハウス・カレッジに在学中に、“Together for Days”で映画デビュー。 『ジャングル・フィーバー』でクラック常用者を演じて、カンヌ映画祭で審査員に選ばれた最初で唯一の助演男優賞を獲得。そのほかにもニューヨーク映画批評家協会賞助演男優賞にも輝いた。『パルプ・フィクション』では哲学的な殺し屋ジュールスを演じ、アメリカ映画界に大きな足跡を残した。この演技で批評家に絶賛され、助演男優として、アカデミー賞、ゴールデン・グローブ賞にノミネートされ、イギリス・アカデミー賞を獲得した。『評決のとき』ではゴールデン・グローブ賞の候補となり、NAACPイメージ賞を獲得。『ジャッキー・ブラウン』ではゴールデン・グローブ賞にノミネートされ、ベルリン映画祭では、コメディ映画最優秀男優銀熊賞を獲得した。 その他の主な出演作には、『交渉人』『ダイ・ハード3』『ディープ・ブルー』『スター・ウォーズ エピソード1/ファントムメナス』『ジュラシック・パーク』『S.W.A.T.』『チェンジング・レーン』『ケミカル51』『トゥルーロマンス』等がある。 また、ディズニーの大ヒット・アニメ映画『Mr.インクレディブル』ではフロゾンの声を演じた。この映画はゴールデン・グローブ賞最優秀作品賞の候補となり、アカデミー賞でも2部門の候補となった。 最近では、『スネーク・フライト』『勇者たちの戦場』『ブラック・スネーク・モーン』『フリーダムランド』『1408号室』に出演。また2005年前半に主演した『コーチ・カーター』は、権威あるパーム・スプリングス映画祭のオープニングナイトに上映され、ジャクソンは、俳優キャリア功労賞に輝いた。 |
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2006年後半、『敬愛なるベートーヴェン』に主演し、加えて、ニューヨーク・パブリック・シアターのひとり芝居 “Wrecks”(ニール・ラビュート作/演出)の舞台に立ったエド・ハリス。 ハリスは、2005年にアイルランドのエブリメン・パレス・シアターで初演されたこの芝居のオリジナルキャストであり、この公演が初のアメリカ進出となった。2005年には、『ヒストリー・オブ・バイオレンス』で全米映画批評家協会賞助演男優賞を受賞した。 2003年には、『めぐりあう時間たち』で助演男優として、アカデミー賞の候補(4度目)になると共に、ゴールデン・グローブ賞、映画俳優組合賞、イギリス・アカデミー賞にノミネートされた。 それ以前のハリスのアカデミー賞候補作『ポロック 2人だけのアトリエ』(ハリスの監督デビュー作:ハリスは主演男優賞候補)では、共演者マーシャ・ゲイ・ハーデンがアカデミー賞助演女優賞に輝いた。 その他の出演作には、『僕はラジオ』『白いカラス』『戦争のはじめかた』『ビューティフル・マインド』『グッドナイト・ムーン』『トゥルーマン・ショー』(アカデミー賞候補作、ハリスはゴールデン・グローブ賞助演男優賞を獲得)、『アポロ13』(助演男優として、アカデミー賞とゴールデン・グローブ賞の候補となり、映画俳優組合賞を受賞)、『ライトスタッフ』等がある。 最新出演映画には、ベン・アフレックが脚本/監督を手がけた“Gone,Baby,Gone”と、デニス・レヘイン(『ミスティック・リバー』)のベストセラー小説を原作とし、ボストンでロケ撮影されたスリラーがある。 |
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批評家に絶賛された『トレーニング デイ』で脇役ながら重要な役を演じ、映画ファンに注目されたメンデス。以来、コメディックな役でもドラマティックな役でもその卓越した演技力を証明して来た。 キューバ人とアメリカ人を両親にマイアミに生まれ、ロサンゼルスで育つ。大学で演劇を始め、著名な演劇コーチ、イヴァナ・チュバックに師事。それから間もなく、女優として働くという夢は叶った。 『最後の恋のはじめ方』ではウィル・スミス、ケヴィン・ジェームズと共演。『NOセックス、NOライフ!』(DVD)ではジュリアン・ムーア、マギー・ギレンホール、ビリー・クラダップと、『ゴーストライダー』ではニコラス・ケイジと共演した。 最新出演作は、ホアキン・フェニックスと共演した『アンダーカヴァー』で、この映画はカンヌ映画祭に出品された。 その他にも、インディペンデント映画“Live!”に主演し、製作総指揮も務めた。 その他の出演作に『タイムリミット』『レジェンド・オブ・メキシコ/デスペラード』『ワイルド・スピードX2』、『グッドボーイズ』『ふたりにクギづけ』等がある。 |
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ハリウッドで最も傑出した映画作家という地位を築き上げたハーリン。 彼が手がけた映画は、国際的に大ヒットしたアクションから批評家に絶賛されたドラマまで幅広い。 フィンランドに生まれ、母国で映画監督としてのキャリアを始める。 ハーリンがアメリカの映画ファンに注目されたのは、1988年に彼が監督した『エルム街の悪夢4/ザ・ドリームマスター最後の反撃』が公開された時だ。この映画は、歴代最高の興行収入を上げたインディペンデント映画となり、現在に至るまでエルム街シリーズ最高のヒット作となった。続いて、『フォード・フェアレーンの冒険』と『ダイ・ハード2』を手がけた。次にハーリンは、大ヒットした『クリフハンガー』を監督/製作。ハリウッド随一のアクション監督と見なされるようになった。その後、『カットスロート・アイランド』『ロング・キス・グッドナイト』の監督を手がけた。1999年には、『ディープ・ブルー』で、映画観客にスリルを与え、『ドリブン』で再び、シルヴェスター・スタローンと組んだ。製作者としても成功しているハーリン。 デビュー作は、1991年のマーサ・クーリッジ監督の『ランブリング・ローズ』だ。ロサンゼルス在住。彼の製作会社ミッドナイト・サン・ピクチャーズもロサンゼルスを本拠地としている。 2003年からミレニアム・フィルムのパートナーとなり、『88ミニッツ』では製作を、『ブラック・ダリア』ではライン・プロデューサーを、『勇者たちの戦場』“Ma d-Money”では製作総指揮を務めている。 |
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本作の脚本に加え、アノイマス・コンテントのために“Spinning Man”を、アルコン・エンターテイメントのた めに“Counterfeit Son”(原作は同名小説)の脚本を書いたアルドリッチ。 また彼のオリジナル脚本“Little Guilt Shrine”も、サンフォード・ピルズバリー・プロダクションが映画化権を取得している。 UCLAの劇場映画/テレビ科で戯曲執筆を中心に学び、学士号を取得。 ロサンゼルスのアクターズ・スタジオの戯曲作家メンバーとして、地元の舞台で戯曲を書いて働き続けている。 |
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